おとついですが、NHK:『手塚治虫・現代への問いかけ』に建築家・安藤忠雄 氏が出演。
手塚先生は僕の人生のなかで、もっとも尊敬する人物であり、今回、もう一人の尊敬する人物安藤忠雄氏がダブルで登場するという、見ずにいられない状況でした。
僕は作品としては、アトムよりも、火の鳥や、ブッダ、アドルフに告ぐなど、大人っぽいものの方が好きですが、最初にアトムの今昔物語だけは、何十回も読み返したのを覚えています。
それまで、アトムは未来のお話でしたが、今昔物語では、アトムの死んでボロボロになった絵や、生まれるシーン、今思えば輪廻という考え、あるいは、遠い宇宙のバッタのような宇宙人の話、など、時間と空間を超越したスケールの大きい話、これまでのアトムでは、ありえない、いや、他の子供漫画でもなかった異色の作品だったと思います。
これを知ってから、手塚作品には、リボンの騎士などとはまったく違う作品もあるのだという、何か秘密を知ってしまった子供のドキドキ感が、新しい作品を手にするたびにありました。
第一話で、作家の高橋源一郎さんがおっしゃっていた、世の中の全て、生も死も、残酷さも夢見るところも見せてくれた、世界を広げてくれた人です。
確かに劇画や、ギャグ漫画に押されて、人気的にはナンバーワンではありませんでしたが、苦悩し続け、後輩に嫉妬し、それでも最後まで描き続けたという、その人生そのものに、漫画以上の感動を覚えます。
そして今では神様と呼ばれるまでになった存在。
自分も住宅建築家として、死ぬまで後世にどういう家を残すか、苦悩し続けたいものです。