ハウズの事務所の本棚にある本は建築やインテリアやデザインの本や雑誌。
時々プランの参考にしたり、読み返すたびに発見があって読みふけってしまったり。
今回はワタナベのレビューと共に9冊ご紹介いたします。
お貸出し可能ですので、「読んでみたい!」と思った方はお声かけください。
Contents
「地球家族」世界30か国のふつうの暮らし|TOTO出版
”申し訳ありませんが、家の中の物を全部、家の前に出して写真を撮らせてください”
世界30ヵ国の国での「中流」と呼ばれる家族の持ち物(本当に!)全てを外へ持ち出して撮影した写真と暮らしのレポートなんですが、いろんな意味で深い本だと思います。
最初は単なる好奇心だけでも楽しめるんですが、次第に文化論、政治論、宗教論、そしてもちろん住居学。いろいろな視点から考えを巡らせることになります。
初版は1994年ですが、版を重ね2005年に12版が出ています。
見るたびに、その時の自分の気持ちや社会の動きに応じた違った気づきがある本です。
家族の本棚に入れておいて、子供の年齢に応じて時々眺めるのに適していると思います。
以下は本の帯文です↓
高級車を4台もつクエート。1頭のロバしかもたず毎日40分かけて水をくみに行くアルバニア。
自家用飛行機2台と4頭の馬をもち今日を楽しむアイスランド。
2週間も食べられなくてもすべて神様が決めることというインド、生きていることが成功の印というグアテマラは驚くほど物が少ない。
テレビも飛行機も見たことがなくても仏に守られているかのように静かに暮らすブータン。
物質文明の先端で信仰生活になぐさめを得ているアメリカ。
環境や人口といった地球がかかえる問題を考えると子供の未来が不安だというドイツ。
物が溢れる日本。あなたの家は?
堀部安嗣の建築|TOTO出版
住宅作家として人気の建築家・堀部安嗣(ほりべ・やすし)氏の初の建築作品集です。
自然素材を生かしたデザインは懐かしさと大胆さがいい具合に溶け合って五感に訴えかけてきます。
時間の経過と共に美しく周囲の風景と共に朽ちていくのを目指しているような、日本人的な感性にとても惹かれます。
写真もご自身での撮り下ろしだそうで、空気感まで映しこむその美意識と腕前にリスペクト!です。
こちらもお薦め
堀部安嗣 作品集1994-2014 全建築と設計図集
堀部安嗣氏の作品集。眺めているだけでも満足です
廃材王国|淡交社
随分前に施主様からいただいた本なんですが、もったいない精神豊富な原田所長が気に入って大事にしています。
事務所では原田所長が何かを再利用してDIYする時は「じゃあ、廃材王国する?」って普通に使います笑
著者は長野で「カナディアンファーム」というレストランのオーナー長谷川豊氏。
八ヶ岳山麓から出る廃材を利用して、25軒もの家を建てた方です。
家が、建築が、と身構える前にとにかく何か作ってみたくなる本です。
古い本ですが、セルフビルドやリノベーションが話題に出る事が多くなった現在。
改めて読んでみても興味深いと思います。
宮脇檀(みやわき まゆみ)の住宅設計テキスト|丸善
建築家 宮脇檀氏は1989年、享年62歳で没。
住宅を得意とする建築家として、とても人気があり、当時はその早すぎる死を惜しまれていました。
吉村順三氏を師匠として、モダンでなおかつ繊細、住宅設計の面白さ、を体現するような建築家でした。
私はそ10代の頃からファンで、なんど読み返しても、その度に発見があります。
一般の方には、少し面白みに欠けるかもしれませんが、ご興味があったらぜひどうぞ。
「コワ~い土地の話」の本|宝島社
最近、土地捜しからご相談をお受けする事も多いので不動産関係の業者さんとお話しする機会が時々あるのですが、「掘り出し物です!周辺の相場より安いです!」と情報をいただいた土地が、設計者、および建て主さま目線で考えると、不安な要素があったりする経験をしました。
だから、全くの素人の状態で(いや、私たちも不動産についてはほとんど素人なんですが)土地を捜して不動産屋さん巡りをする、建て主様は不安だろうな~と思います。
で、たまたま、アマゾンで目に留まった本を買ってみました。
接道義務など常識的な内容も多いですが、驚くような事も書いてあります。
ちょっと、寒くなるような事もあったりして。。(熱い季節に読むには向いているかも笑)
まあ、あんまり怖がったり、疑心暗鬼になるのはいけないと思うんです。
雑学程度に考えた方が良いとは思いますが、なかなか面白いです。
服を買うなら、捨てなさい|宝島社
以前ご自宅を設計させていただいたM様ご夫妻はとってもお洒落でスタイリッシュ。
お引越し後の新居での暮らしぶりもいつもスッキリきれいにされていらっしゃいます。
先日クローゼットの中を拝見させていただいてこの本が、ズバリ!の内容でした。
打ち合わせをしていると、自分たち家族にとっての適正なモノの量を立ち止まって考える事無く、とにかく収納スペースをたくさん作れば安心!と思い込んでいる場合が多いです。
もちろん、敷地が広くて、予算も増えるんであれば、たくさんの収納スペースはあってもいいんですが、そんな事はほとんど無いわけで、リビングなどを狭くしてまで収納スペースを増やすのは賛成ではありません。
ワタナベはしっかり読みました。
実践はこれからです。汗。
居場所としての住まい|新曜社
”そして、住まいのナワバリ学とは、家族の一人ひとりが、住まいの中で、どのように自分の居場所をもっているか、あるいは、どんなナワバリ争いが起きているかを通して住まいを考えるものだ。”(本文より)
間取りを人の行動心理学の視点から俯瞰してみたら見えてくるもの…。
普段当たりまえに感じていることの意味が見えてきて、家づくりの前に一読しておくと興味深いかもしれません。
もちろん、プランを考える事が仕事である私としては大変面白く感じました。
羊と鋼の森|文藝春秋
2016年本屋大賞を受賞された、福井市在住の宮下奈都さんの小説です。
ピアノ調律師の青年の成長を描き、2018年には山崎賢人の主演で映画化もされました。
ご本人だけでなく、ご家族みなさんが本がお好き。という事で、「本のある暮らしを愉しむ」というコンセプトでご自宅を設計させていただいてから、はや7年。
エッセイなどにはご家族の話題や暮らしぶりもおり込まれる事があって、いつも楽しみにしています。
ご自宅の設計事例はコチラ→実例集「温かい家」
サインをいただきました。
その他のいくつかの著書も含めて「宮下奈都さんコーナー」あります。
ホントは安いエコハウス|日経ホームビルダー
「エコハウス」と聞いて思い浮かぶのはどんな家でしょうか?
ザックリいうと「光熱費を抑えつつ、暑さ寒さのストレスが少ない快適な住環境を得られる住まい」です。
燃費のいい住まいですね。
そういった経済性の高い住まいを実現するための著者の経験と実績、詳細なデータに基づく解説は、家づくりを考えている全ての人にとても参考になります。
ただ、良い家という判断基準には住まい手によっていろいろあってしかるべしと思うのです。
燃費の良いプリウスが必ずしもベストなチョイスという訳ではないのと同じ、と車に例えるとわかりやすい話かと。
高断熱高気密に興味のない一般の方、特に女性にとってはちょっと”とっつきにくい内容”かもしれません。
ですが展示場を廻ったり、いろんな工法を説明してもらう時に的確な質問が出来る知識がもてますから頑張って読む価値はあります。ぜひどうぞ。