(過去記事を加筆修正しています)
ハラダです。
建物の温熱環境に大きく影響するサッシ。
今回はある案件のサッシについて、サッシの性能を変えると年間の光熱費がどれくらい違うか調べてみましたのでご紹介します。
性能とサッシのコスト
先日ある案件の設計を進める中で建て主さまとサッシの性能をどうするか?という話になり、具体的に間取りも固まりつつある段階でしたので、サッシの性能と光熱費の関係を比較してみました。
写真はその時の資料で、YKK-apさんのサッシの性能や構造の資料です。
日本のサッシが世界標準に近くなる
サッシも近年急激に性能をアップさせており、いよいよというか、やっと、日本のサッシも世界基準的なものが出始めました。
長らくアルミサッシが主流だった日本は、省エネなどに関心が高いドイツなど欧米からみると、ちょっと遅れています。
世界的には木製サッシあるいは樹脂サッシがあたりまえで、性能の低いアルミサッシは住宅には使いません。(新築の場合)
しかし国もやっと省エネ政策に力を入れてきて、メーカーも今後は樹脂サッシに力を入れていくそうで、大いに期待したいところです。
性能があがればコストも上がる?
そんなわけで、性能が良くなるのは喜ばしいのですが、そうなると当然値段も高くなります。
で今回は、建て主様も関心があるということだったので、コストと性能の相関関係を調べてみようと思いました。
実は今までサッシ屋さんは枠はサッシメーカー、ガラスはガラス屋で別発注という旧態然とした業界であったのが、最近は両方をメーカーが直接組立出荷する体制になりつつあるので、以前よりはコストがクリアになりつつあります。
性能とコストを比較対象してみました
直接メーカーさんの担当者にお願いして価格の比較表などを取り寄せ、それぞれ性能と価格を出してみました。
それらを具体的な建物にあてはめ、年間の光熱費用がどれほどになるかを試算しました。
(新住協さん(http://shinjukyo.gr.jp/)のQpexというソフトを使わせていただいております)
・A)アルミ+複層ガラス
・B)アルミと樹脂の複合サッシ+Low-Eガラス
・C)樹脂サッシ+Low-Eガラス
の3種類をあてはめてみました。
前提条件として、家中の温度を福井で暖房が必要な期間20°cに維持しつつ、日射の影響、生活による室内の熱取得も考慮しています。
ほぼ10年で元がとれる
それぞれ、年間の光熱費の差は灯油100円/L 換算で
A)アルミ+複層ガラスよりも
B)アルミと樹脂の複合サッシ+Low-Eガラスで14,100円
C)樹脂サッシ+Low-Eガラスで 25,800円
安くなる
という計算結果でした。
これは電気暖房の場合も併せて出せるのですが、ほぼ同じような結果でした。(ただし、電気の場合の暖房は熱効率COPというやつがどう見るかで変わってしまうのですが・・・)
サッシの金額と比較すると、どちらもほぼ10年くらいで元が取れる計算です。
まとめ
これを安いとみるか、高いとみるのか、その辺はご家族により価値観の違いの出るところだと思います。
しかし確実に言えるのは、一昔前に比べ、樹脂サッシや3重ガラスアルゴンガス入りなどが、手の届く価格になってきているということです。
これから住宅をお考えの方なら、選択肢の一つとなる時代になりました。
今回はサッシだけを変えて計算していますが、今後、断熱材を変えた場合の比較などもしていきたいと思います。