家づくりのご相談を受ける中で、
「もう土地は決まっているんですが……」
「不動産屋さんからは問題ないと言われました」
というお話をよく伺います。
もちろん、不動産屋さんは土地のプロです。ただ、“家を建てる視点”で土地を見るのは、また少し違います。
私たち設計事務所では、まず最初にどんな暮らしをしたいのか、住まいに何を求めているのかをざっくりとお聞きします。
その上で、実際に土地を見に行き、「その土地が、そのご家族の暮らしに本当に合っているか」を一緒に考えていきます。
図面や数字だけでは分からない「土地の顔」
土地の資料を見ると、面積、方角、用途地域、価格などが並びます。でも、現地に立ってみないと分からないことが、実はたくさんあります。
① 近隣や道路との関係性
・隣の家の窓は、どこに向いているか
・交通量は多いか、音は気になるか
・道路との高低差で、玄関や駐車場はどうなるか
こうした点は、住み始めてからのストレスに直結します。設計の工夫で解決できることもあれば、「そもそも相性が良くない土地」というケースもあります。
② 土地の高低差がもたらす建築コストの差
意外と見落とされがちなのが、土地の高低差です。
・擁壁※1が必要かどうか
・造成工事※2がどれくらいかかるか
・駐車場やアプローチのつくり方
一見、価格が安く見える土地でも、建築費用が思った以上にかかるケースは少なくありません。逆に、高低差をうまく活かすことで、その土地ならではの魅力的な住まいが生まれることもあります。
※1擁壁(ようへき)は、高低差のある土地(傾斜地や崖)で、土砂の崩落を防ぐためにコンクリートや鉄筋コンクリート等で造られる壁状の構造物です。
※2造成工事(ぞうせいこうじ)とは、傾斜地、田畑、空き地などの土地に、建物(住宅、店舗、マンションなど)を安全に建築・利用できるように、切土・盛土・地盤改良などで平坦かつ強固な地盤へと整える工事のことです。
③ 排水・側溝・陽当たり
・雨の日に水が溜まりやすくないか
・側溝の位置や管理状況
・周囲の建物による影の影響
これらは、図面や写真だけでは判断しにくい部分です。特に陽当たりは、季節や時間帯によって印象が大きく変わります。
設計者の目線で現地を見ることで、「プランで工夫できること」と「土地選びの段階で知っておくべきこと」を整理してお伝えしています。
複数の候補地を、同じ基準で比較する
土地をいくつか検討されている場合、それぞれの長所・短所を同じ物差しで比較することがとても大切です。
・この土地なら、こんな暮らしがしやすい
・こちらはコスト面では有利だが、設計の工夫が必要
・総合的に見ると、どの土地が一番合っているか
不動産情報だけでは見えない部分まで含めて、中立的な立場でアドバイスを行います。
haws styleの実例を少しご紹介
複数の土地を比較検討した上で選ばれた、高低差のある敷地。

建て主様の一番のご要望が屋根の上でBBQをすることでした。プランの一番のポイントは『敷地の中の高低差を活かして、インナーガレージの屋根の上がデッキ』になることです。

車庫の上を利用した2階ベランダは南向き、約18帖の広さ。2階へあがる階段の踊り場から車庫上デッキに出ることができます。

完成したお家。造成やコストを整理しながら、高低差を住空間の魅力へと転換した実例でした。

土地は「買うこと」がゴールではありません
土地選びは、家づくりのスタート地点です。大切なのは、その土地で、どんな毎日を過ごせるか。
設計事務所として、「この土地なら、こんな住まいができそうですね」と未来の暮らしまで想像しながら、土地を見ることを大切にしています。
これから土地探しをされる方も、すでに候補地がある方も、お気軽にご相談ください。





